大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和30(オ)830 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

論旨第一点について。

原審が適法に確定した事実に徴すれば、所論調停条項は、上告人において右調停

において定める賃料を一ヶ月分でも支払うことを怠つたときは、被上告人において

は、催告を要しないで右契約を解除しうる趣旨をもつて定められたものと認めた原

審の判断を是認することができる。また原審の確定した事実関係の下においては、

被上告人の本件解除の意思表示をもつて権利の濫用と認める余地もない。それ故、

所論は採るを得ない。

同第二点について。

所論は原判示に副わない主張であつて上告理由としては不適法である。(所論上

告人の「本件家屋に対する占有は不法」云々は、原審は、被上告人の主張事実とし

て摘示したに止まり、これを認定したわけではなく、また本件調停を無効であると

の論旨は、原審において主張判断のない事項である。)

同第三点について。

所論は違憲をいうが、その実質は単なる訴訟法違反の主張である。そして一審に

おける被上告人本人訊問調書と、上告人本人訊問調書とが混綴されていることは所

論のとおりであるが、右は記録編綴の誤りであつて、記録自体から両者を判別する

ことが可能であるし、右証拠は原判決が事実認定に援用してもいないのであるから、

論旨は採ることをえない。論旨はすべて原判決に影響を及ぼすこと明らかな法令違

背を主張するものとは認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

- 1 -

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!